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1.不屈の精神

「光を失うということ」
私は32歳で突然光を失い、全く目が見えなくなりました。
病名は、急性緑内障と網膜剥離。
病院に行った時は、すでに手遅れでした。
それまでは当たり前に見えていたのに、急に閉ざされてしまった世界。
ずっと続くであろう闇の中で、「一体これからどうやって生きて行けばいいのか?」
途方に暮れました。
私は2年あまり、ほとんど外に出ることもなく、引きこもりの状態で過ごしたのです。


「訪れる転機」
そんな私に、転機が訪れました。
子供が生まれたのです!
看護師さんが病室に連れてきてくれた、小さな小さな我が子。
思わず両手で触りまくりました。
小さな目や鼻や口は、指先の爪で傷つけてはいけないと、とっさに唇で確かめました。
「ああ、これは鼻だ! 随分チッチャイナア!」
「この子はどんな顔をしているんだろう?」
この時ほど「見たい!」と思ったことはありません。


ある時、私のもとに生まれてきてくれた我が子を抱きしめ、考えました。
「自分はこの子に何を教えてやれるだろう…」
その時、心のスクリーンに5つの文字が映し出されたのです。
”不屈の精神”
そこには、黒くハッキリとした文字で、縦に、そう書いてありました。


「ああ!!そうだ、自分が教えられるものは、これしかない!」
溢れ出る涙と共に、
「私は子供に生涯かけて、不屈の精神を見せてやろう!!」
と、心に強く誓ったのです。
その時、失明してから初めて、思いっきり泣きました。


「不屈の精神を見せるために私は立ち上がった」
私は、立ち上がりました。
家の中で手探りでできることを見つけ、
障害者手帳を取得し、
中途失明者のための訓練施設に通い始めました。
いままで経験したこともない点字、
白い杖を使って一人で歩くこと
また、暗闇の中での掃除や洗濯や家族の食事の支度、
そして、文字通り「手探り」の子育て。


しかし、視力を全く使わない方法での家事や育児は、とてつもない困難を伴い、
何度も心が折れそうになりました。
いつも置いてある場所より少しずれた場所に置いてあったコーヒーカップ。
目が見えれば1秒とかからずに探せるのに、
手探りで探し当てるのに、20分もかかったのです。


でも、「不屈の精神」を身をもって我が子に教えると、自分自身に誓った私は、
折れそうになる心を奮い立たせ、一生懸命がんばりました。
家族はもちろんのこと、ヘルパーさんや多くの友人が、助けてくれ、
私の生活能力は、徐々に回復して行きました。


「歌との出会い」
そして、失明から9年後の41歳の時、歌に出会ったのです。
目が見えなくても、歌なら歌える。
私はそう思い、近所の音楽教室に通い始めました。
そして、歌で自分の思いを表現できる喜びに、歌うことに夢中になっていったのです。
思い切って、発表会に出てみました。
どうしてもピアノの弾き語りがやりたくて、
1年かかって、ようやく弾きながら歌えるようになった曲を、
大勢の方々の前で披露しました。
イベントで歌わせていただけるようになりました。
そして私は、とうとう、コンクールを目指すようになったのです。
心のスクリーンには、コンクール本選会の大舞台で歌う自分の姿が映りました。
遂に2009年、2010年の「太陽カンツォーネコンコルソ・クラシック部門」で、
2年連続上位入賞を果たすことができました。
それだけではありません。
私はそれを皮切りに、ソロリサイタルを開催し、
オリジナル曲を作るようにまでなったのです。
2014年5月には、初のシングルCD「Mother」を出すことができました。
ラジオ番組に出演し、「Mother」を紹介していただけました。
2015年からはセミナーとコンサートが融合した、
セミナーライブを展開できるようになったのです。


聴いて下さったお客さまは、涙を流し聴き入ってくれました。
なぜ、それがわかったのか?
舞台で歌いながら、お客様の様子が手に取るように、
心のスクリーンに映し出されたからです。
また、そのような感想を寄せて下さったお客様が、たくさんいらしたからです。
「なぜ、感動して下さるのだろう?」
私は考えました。
そして、自分の「がんばり」にお客様は共感して下さるのだと気がついたのです。



そうだ、これこそが私の使命だ!!
自分の生き様を、ステージを通して観ていただき、共感していただく。
心の奥深く眠っていた自分の使命を、神様は失明と言う試練を与えて、
気付かせて下さった。


そう思えたのです。


私が歌うことは、私の生き様を観ていただくことだと思っています。


「人は困難の中でこそ成長し、本当の自分を見つけることができる。」


そして、その先に「幸せ」という光の世界が待っているのです。


これが私があなたに伝えたいメッセージです。

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